キクちゃん

先日、８月１８日(土）、三好中学３年Ｅ組のクラス会がありました。男７名、女７名「ほとんど合コン状態」でしたが、毎回同じメンバーが集まる中で、３０年ぶりに出席してくれた「キクちゃん」。彼女は、何人かいる｢行方不明者リスト」の中の１人でしたが、たまたま連絡が取れて出席してくれました。

思い起こせば３０年前…中３の修学旅行のすこし前の事。級長だった｢林君」と副級長だった若奥は職員室に呼ばれ、担任の森先生から、キクちゃんとＯくんを私たちの班に入れて、二人の面倒を見るように言われました。修学旅行は男子３名・女子３名の６人で班を作り、級長・副級長は第１班・先頭の班。仲のいい子同士で班を作るということになっていました。

｢キクちゃん」は勉強も…できない、顔は…かわいくない、友達も…いない、はっきり言って今の時代なら｢いじめられっ子」「仲間はずれ」でしたが、職員室を出ながら林君と「しょうがないよね…」と話していたのを思い出します。｢一緒の班になろうね…」と約束していた弘美ちゃんに「キクちゃんと同じ班にならなきゃあいけないけど、嫌だったら他の班に行ってもいいよ｣と言ったら「別にいいよ｣と言ってくれてホッとして…。

今までほとんど一緒にいた事が無かったキクちゃんと、修学旅行中ずっと一緒にいたら、キクちゃんは性格はすごく純粋で…ただ少し不器用なだけなんだ…という事がわかりました。

二次会で行ったカラオケボックスで、キクちゃんはピンクレディーの「ＵＦＯ」を歌ってました。林君が一緒にマイクを持って、キクちゃんの横で踊ってました。彼もまた、修学旅行での事を思い出したのでしょうか…。

キクちゃんとたくさん話をしました。結婚して子供を二人生んだけど、９年前に離婚して子供は二人とも旦那さんが引き取ったこと、今は若奥の家のすぐ近くのアパートで１人暮らししている事、地元の警備会社で働き「交通誘導」の仕事をしていることなど。実家もあまり裕福ではなかったと思います。だから子供も取られちゃったのでしょうか…。

この年齢のクラス会、ほとんどの会話が「子供中心の会話」の中で、彼女はどんな気持ちで回りの会話を聞いていたのでしょうか…。若奥は彼女の横で、何度も「キクちゃん、頑張っていて偉いね」と言ってあげて、何度も「友達だからね」と言ってあげて。キクちゃんは「じゃあ、知り合いに、川平屋さんの奥さんと友達って言ってもイイの」ってうれしそうに言ってくれました。

今日、定休日だったので、いつものように昼の１２時に予約のエステに行く為に、国道２４８号を岡崎に向かって走り、トヨタ自動車の本社の前を通り過ぎる時に、ヘルメットをかぶったキクちゃんが道路の真ん中で「徐行」と書かれた黄色い旗を一所懸命振ってるのを見かけました。若奥はその横を「がんがん」に冷房のかかったベンツで通り過ぎました。午前１１時３０分、とても暑い真昼間でした。

ベンツがすでに３台並んでいる駐車場に車を止め、「あーら、伊藤さん、このコーチのミュール、素敵ですね」と１オクターブ高い声でおセイジ言われても上の空で聞き、いつも楽しくお喋りをするエステの最中も「寝たふり」をしていろいろ考えていました。

人間て言うのは…同じように生まれてきても…なんでこうも「不公平」なんでしょうか…。みんな同じように「楽しいこと」があって、同じように、多少の「つらいこと」があつてもいいのに…。キクちゃんはこの先、何の希望があって、何を楽しみに生きていくのでしょうか…。

そうだ…。今度、キクちゃんと二人で、若奥のおごりで、美味しい物でも食べにいこう！！！そして、もしキクちゃんが回りに「バカにされた時」に、「私は美保ちゃんと友達なんだから！！私をいじめると、美保ちゃんに言い付けるよ！！」くらい、若奥は「すごーい人物」になってやるぞー…と。３０年前の修学旅行の時のように、「私がキクちゃんを守ってあげる」なんて偉そうに思った若奥でした。

今…改めて…幸せである事に…「感謝」…です。そう気付かせてくれた「キクちゃん」にも…「感謝」…です。
キクちゃん、今度、美味しい物食べにいこうね！！！